できもの

できもの・ほくろ・腫瘍画像

皮膚のできものとしては、ほくろ、粉瘤、いぼ、脂漏性角化症、石灰化上皮腫、粘液嚢腫などがあげられます。

粉瘤

アテロームとも呼ばれる粉瘤は、皮膚が陥入することでできた袋に老廃物や皮脂が溜まることにより生じる半球状の良性腫瘍です。大きさは直径にして約1~2cmですが、10cm以上になることも稀にあります。発生しやすい箇所としては、顔、首、背中、耳の後ろ、鼠径部などで、複数個が同時に多発する場合もあります。このほか、外傷によって手のひらや足の裏にできることもあります。

特徴として、中央に黒点状の開口部があり、これを強く圧迫して潰そうとすると臭いのある粥状の物質が排出されます。見た目はにきびと似ていますが、中心部に黒い点があるのが粉瘤です。自覚症状はないものの、細菌による二次感染が起きたり、嚢腫壁を破るといった状態になると発赤や痛みなどが出ます。これが炎症性粉瘤です。

良性の腫瘍とは言っても、腫瘍自体が大きい、悪性化する可能性があるといった場合は手術による摘出となります。巨大な粉瘤でない限りは、局所麻酔での日帰り手術が可能です。なお炎症を起こしている場合は、抗生物質の内服をしたり、また小さく切開して膿を出したりして炎症を抑えた後に手術となります。

いぼ

いぼとは、皮膚の微小な傷からヒトパピローマウイルス(HPV)が侵入し、感染することによって発症する腫瘤のことを言い、正式名称は尋常性疣贅(ウイルス性イボ)です。子どもに多く見られますが、大人でも発症することがあります。発生部位は、手足の指や、手のひらや足の裏、背中などに発現します。なお、初期のいぼは平らで小さいですが、徐々に大きくなって盛り上がるようになっていきます。かゆみや痛みはありません。大きくなると、表面がザラついて硬くなっていきます。見た目が気になることや、ウオノメと間違いやすいなどといったことから自ら削って取ろうとする方もいますが、結果としていぼを広げることになってしまいます。気になる方は医療機関をご受診ください。
病状によっては日帰りでの外科的切除を行います。外科的切除は、いぼ周辺の皮膚を切開してイボを除去するため、完治率は高く90%程度と言われています。傷痕が目立つ場合がありますが、いぼを早く除去したい方には適した治療法です。

脂漏性角化症

脂漏性角化症は、加齢による皮膚の老化が原因で生じる小さなブツブツや隆起性の良性腫瘤のことを言います。これもいぼの一種であることから老人性疣贅とも呼ばれています。原因として、紫外線や遺伝による影響が指摘されていますが、完全には解明されていません。手のひらや足の裏以外、全身どこにでも発生し、徐々にと大きくなっていきます。大きさは5ミリ~数センチほどと様々で、表面が硬いものもあれば、軟らかいものもあり、形も平らなものや隆起するものなど様々で、色も肌色や褐色、黒色などがあります。大半は無症状ですが、かゆみが現れる場合もあります。
いぼ同様、病状によっては日帰りの外科的切除を行います。気になる方はご相談ください。

石灰化上皮腫

石灰化上皮腫とは、皮膚の一部が石灰のように硬くなってしまう良性の皮下腫瘍のことを言います。原因は解明されていませんが、毛母細胞に起因する腫瘍ではないかと考えられています。幼児期の頸部や顔面、上肢などの部位に生じやすい皮下結節で、皮膚の直下に石のような硬いしこりができます。自覚症状はないものの、発症部位を押すと痛みを感じたり、かゆみが現れる場合もあります。また、細菌感染が起こると赤く腫れ上がってしまうこともあります。
治療を行う場合は、外科的な摘出になります。多くの場合は局所麻酔での日帰り手術が可能です。腫瘍が大きい、患者様が年少児というケースでは全身麻酔をしての摘出となります。

粘液嚢腫

手の指の第一関節付近が腫れて変形し、指が動かしにづらくなる病気のことをヘバーデン結節と言います。これは人差し指から小指までの第一関節が赤く腫れる、曲がるといった症状が現れ、痛みによっては手を強く握ることができなくなります。そして、この第一関節付近に水ぶくれのようなものができることもあり、これを粘液嚢腫(ミューカスシスト)と呼びます。水ぶくれの中身はガングリオンと同様、透明なゼリー状の液が溜まっています。なおヘバーデン結節を発症する原因は分かっておらず、40歳代以降の女性に多く発生しやすいと言われています。また、手を良く使う方がなりやすいとも言われています。

粘液嚢腫は大きくなると皮膚が破れるなどで関節内に細菌が入る可能性があることから、注射器で中身を吸引する穿刺吸引治療、または嚢腫ごと切除する外科的な摘出が行われます。指の第一関節にイボのようなものがある方は一度ご受診ください。

ほくろ

ほくろとは、メラニン色素を産出する色素細胞が変化した母斑細胞の塊のことです。メラニン色素を含んでいるため、褐色・茶色・黒色などの色をしています。

ほくろは生まれつきあるものと、成長途中で出現するものがあり、形にしてもいろいろで隆起しているものから真っ平なものまであります。また小さな頃は平らだったほくろが、成人するにつれ母斑細胞が増えて隆起してしまう場合もあります。痛みなどの症状はありません。

多くのほくろは良性の色素性母斑であるため、受診の必要はありません。ただし、新たに発生したほくろで急激に大きくなったものは、悪性黒色腫が発症している場合もあるので、ご心配な方は一度当院に受診されることをおすすめします。

治療を希望する場合はほくろを除去することになりますが、保険が適用される場合とそうでない場合があります。必要のに応じて外科的切除による治療を行います。

腫瘍

腫瘍は細胞が異常に増えることが要因で発生するもので、皮膚腫瘍には良性タイプと悪性タイプに分かれます。皮膚の悪性腫瘍は、有棘細胞がん(扁平上皮がん)、基底細胞がん、ボーエン病、悪性黒色腫などがあります。

有棘細胞がんは、有棘層(表皮の中間層)を構成する細胞から発生するがんのことです。長期的に大量の紫外線を浴びると発症のリスクが高まると考えられています。なお有棘細胞がんの初期の皮膚変化が日光角化症です。発症すると硬いしこりができたり、表面がカサカサします。進行すると潰瘍状態になる場合もあります。

基底細胞がんは、表皮の最下層の基底層や毛包などを構成する細胞が悪性化した状態のことを指します。なお、最も発生が多い皮膚がんです。原因としては、紫外線、やけどのあと(熱傷瘢痕)、外傷、放射線などの影響していると言われています。自覚症状がなく、見た目はほくろに似ていて、黒色または黒褐色の軽く盛り上がった発疹が見られます。数年が経過すると腫瘤となり、さらに進行すると腫瘤の中心部がくぼみ潰瘍を形成します。多くは高齢者の方で、上下まぶた、鼻、上唇のまわりに発生します。

また、ボーエン病は日光などの紫外線、ヒトパピローマウイルス感染、ヒ素中毒などが原因で起きると言われている表皮の内部に発生するがんの一種になります。主な症状としては、表面が赤くザラザラした状態の皮疹が生じ、形状は円形だけでなく、いびつな形もあります。よく胴体に発生しますが、手や陰部などにもできることがあります。そのまま放置してしまうとがん細胞が真皮に侵入するようになりますが、この状態となるとボーエンがんと呼ばれます。

悪性黒色腫(メラノーマ)は、皮膚がんの一種で、メラニン色素を産生するメラノサイトと呼ばれる皮膚細胞が悪性化してできる腫瘍のことをいいます。症状としては、褐色や黒色のシミ・腫瘤が皮膚の表面にあらわれます。大きさは6mm以上で、色むらがあり、ギザギザしているという特徴があります。

これら皮膚がんが疑われる場合、主に組織診(腫瘍の一部を採取して顕微鏡で確認)などでがん細胞の有無を確認します。がんが確認されたら直ちに治療となりますが、そのような場合は、がん専門の医療機関などを紹介いたします。