消化器外科・内視鏡画像

消化器「外科」とは、消化器「内科」と同様に消化管(口、食道、胃、小腸、大腸、肛門まで全長約9mの管状の臓器)と、それに連なる胆嚢、肝臓、膵臓などにみられる症状・病気を診ていく診療科です。
具体的には、消化管に潰瘍や腫瘍、結石などがあるか、ウイルスや細菌の感染で消化器症状を起こしていないかなどを診ていきます。腹痛や嘔吐、下痢、便秘といった消化器症状がみられた際は、ご受診ください。

「外科」と聞くと手術を想像される方も多いかと思いますが、当診療科は検査が中心となります。上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)や大腸内視鏡検査(大腸カメラ)をはじめ、レントゲン撮影検査、超音波検査などにより、消化管に潰瘍やがんなどの病変があるかどうかを見分けます。診断の結果、速やかに外科的治療が必要と判断した場合は、中核病院を紹介いたします。

このほか、がん患者様への化学療法(抗がん剤治療)や、がんによる痛みを取り除く治療なども行っております。消化器がんへの不安や悩み事があるという方はお気軽にご相談ください。

消化器外科で扱う主な症状(例)

  • お腹の調子が悪い
  • 胃が痛い
  • 胃もたれがする
  • 吐き気がする
  • 胸やけがする
  • 便秘気味である
  • 下痢を繰り返す
  • 血便が出た
  • 食欲が無い
  • 急に体重が減少した
  • 顔色が悪いと言われる など

消化器外科で扱う主な疾患

  • 逆流性食道炎
  • 食道静脈瘤 食道アカラシア マロリー・ワイス症候群
  • 急性、慢性胃炎
  • 胃・十二指腸潰瘍
  • 胃がん
  • 胃ポリープ
  • 胃粘膜下腫瘍
  • 腸閉塞
  • 大腸がん
  • 大腸ポリープ
  • ピロリ菌感染症
  • 感染性胃腸炎
  • 機能性消化管障害
  • 便秘症
  • 過敏性腸症候群(IBS)
  • クローン病
  • 直腸脱
  • 潰瘍性大腸炎
  • 肝硬変
  • 肝炎(ウイルス性肝炎)
  • 脂肪肝
  • 肝臓がん
  • 胆嚢症
  • 胆嚢炎
  • 胆管炎
  • 急性、慢性膵臓
  • 水嚢胞
  • 膵臓がん など

当診療科で行う主な検査

腹部超音波検査

腹部超音波検査とは、超音波(エコー)を用いて、みぞおちからわき腹のあたりまでの腹部の臓器(肝臓、胆のう、膵臓、腎臓など)や血管に異常がないかどうかを調べる検査です。検査では機器から腹部に向けて超音波を発信。部位から跳ね返ってくるエコー(反射波)を再び装置で受信し、コンピュータ処理により電気信号に変え、モニターに画像化して映します。この画像によって各種疾患の診断をしていきます。

上部消化管内視鏡検査

上部消化管内視鏡検査とは、胃カメラとも呼ばれる検査です。細長いスコープの先端にCCDや照明、物をつかむための鉗子などが内蔵された検査機器を鼻や口から挿入していき、食道、胃、十二指腸などの内腔に病変がないか調べていきます。カメラが映した映像についてはモニターを通して、患者様も確認することができます。

また、胃など内部の観察だけでなく、がん等が疑われる組織があれば、組織を一部採取しての顕微鏡で調べる病理検査(生検)も行います。さらに慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍がみられる場合はピロリ菌感染を調べる検査も行います。その結果、ピロリ菌感染が確認されると除菌治療(薬物療法)を行っていきます。

上部消化管内視鏡検査を受けた方がよいとされる方

  • 胃に不快感、胸やけ、喉や胸につかえを感じる
  • みぞおちあたりに痛みがある
  • 嘔吐や吐き気、吐血がみられる
  • 急激に体重が減少した
  • 家族の中で胃がんや食道がんに罹患された方がいる
  • 食事などで塩分摂取が過剰になっている
  • 健康診断等で行った胃部X線検査(バリウムを飲む検査)で異常を指摘された など

上部消化管内視鏡検査で発見されやすい病気

  • 胃炎
  • 胃・十二指腸潰瘍
  • 逆流性食道炎
  • 胃がん
  • 食道がん
  • 食道裂孔ヘルニア
  • ポリープ(食道、胃、十二指腸) など

経鼻・経口ともに対応

上部消化管内視鏡には、口から挿入していく「経口内視鏡」と、鼻から挿入していくタイプの「経鼻内視鏡」の2つのタイプがあります。当院は、どちらのタイプも対応可能です。

経鼻内視鏡

左右のどちらかの鼻孔(鼻の穴)から内視鏡を挿入していくタイプで、直径は5~6㎜程度です。利点としては、スコープが舌の根に触れることがないため、嘔吐反射(オエッとなる)が出にくく、比較的苦しい思いをしなくて済むという点です。そのため鎮静剤をせずに検査に臨む方もいます。また検査中は口呼吸のため、医師と会話が可能で、違和感や質問などを訴えることができます。

また、スコープの径が細いことから画質の粗さなどを心配される方もいますが、経鼻内視鏡も年々進化していますので、現在では経口内視鏡と比較してもほぼ遜色ない機種もあります。

なお、経鼻内視鏡を希望されても、鼻の穴が元々狭い、鼻に違和感があるのが苦手、鼻中隔湾曲症、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などを繰り返しているなどといった方については、経口内視鏡検査をお勧めしています。

経口内視鏡

従来からあるタイプで、口から内視鏡を挿入していきます。そのため舌の根にスコープが触れることになるので、嘔吐反射がみられやすくなり検査中は苦しくなります。したがって、苦痛をできるだけ減らすために検査前に鎮静剤を投与いたします。これによって、意識が薄らいだ状態で検査が受けられますので、喉の違和感もそれほど気にならなくなります。

検査までの基本的な流れ

胃カメラ検査を希望される方は、まず外来をご受診ください。検査の適性などを確認し、問題がなければ、日時の予約をしていただきます。予約時には経鼻と経口のどちらで検査するかも決めておき、事前に感染症検査(血液検査)も行います。さらに医師もしくは当院スタッフから、検査時や検査前後の注意点を説明いたします。

検査前日の注意点としては、夕食は消化の良いものを中心に21時頃までに終えます。水やお茶については制限がありません。検査当日の朝は絶食となります(飲水は可能です)。また常用の薬がある方は、服用を制限する必要がある薬(糖尿病の経口血糖降下薬、インスリン等)がありますので、予約の際にお薬手帳をご持参いただき医師にご相談ください。また鎮静剤を使用される場合、ご自身の運転(自転車、バイク、車等)による来院はお控えください。

検査時の主な流れ

消泡剤の服用
胃内の泡を取り除くために消泡剤を飲みます。
麻酔の投与
経口内視鏡の方は喉、経鼻内視鏡の方は鼻腔に麻酔薬を投与します。鎮静剤を使用する場合はこの時点で行います。
内視鏡の挿入
検査台で横になった状態(左横向き)で内視鏡を挿入していきます(検査開始)。
胃の中などを観察
内視鏡を挿入したら、食道、胃、十二指腸などの内部の様子を確認していきます。経鼻内視鏡の方は、検査中も医師と会話ができます。また経口内視鏡の方で口の中に唾液が溜まっている場合は、飲み込まずに口の横から流し出すようにします。がんなど病変が疑われる組織があれば、一部を採取することもあります。
検査終了
一通り確認したら検査は終了となります。検査時間は、観察のみであれば5~10分程度です。

検査後の注意点

経鼻内視鏡検査を受診された方は、しばらくの間鼻を強くかまないようにしてください。飲食については、麻酔が切れる(検査終了後1~2時間程度)まで不可となります。鎮静剤を使用した場合は、30分程度院内でお休みいただいた後ご帰宅となります。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査とは、大腸カメラとも呼ばれ、大腸内視鏡または下部消化管内視鏡が正式な名称となります。上部消化管内視鏡と同様、細長いスコープの先端にCCD、照明、鉗子などが内蔵されています。この場合、肛門から内視鏡を挿入していくことで、大腸(直腸・結腸)の内壁の様子を観察することができます。同検査によって、大腸内の病変(炎症、ポリープ、腫瘍等)が見つけられるようになるほか、疑わしい組織がある場合は鉗子を使って一部を採取し、それを顕微鏡で調べる病理検査(生検)を行います。またポリープを発見した場合はそのまま切除することも可能です。

大腸がんは、50歳を過ぎる頃から発病するようになります。特徴として初期症状が現れにくく、進行した状態で発見されることが多くあります。そのため、今まで大腸に何の症状もなかったという方も50歳頃には、一度大腸内視鏡検査を受診され、その後も定期的な検査受診をお勧めします。

大腸内視鏡による検査を受けた方がよいとされる方

  • 健康診断等で行う便潜血検査の結果が「陽性」と判定された
  • 血便が出ている
  • 便秘異常(下痢・便秘)がみられる
  • 腹痛や腹部膨満感に悩まされている
  • 貧血の指摘を受けた
  • 顔色が悪いとよく言われる
  • 体重が急激に減少した
  • 大腸がん、大腸ポリープの治療経験がある など

大腸内視鏡の検査によって発見されやすい病気

  • 大腸がん
  • 大腸ポリープ
  • 大腸憩室
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
  • 大腸粘膜下腫瘍
  • 感染性腸炎 など

苦痛はできるだけ軽減します

肛門から大腸カメラを挿入する際、空気も入ってしまいます。これが腹痛やお腹のハリの原因のため、当院では空気を炭酸ガスにして送気します。炭酸ガスは体内に吸収されやすい特徴があるため、腹痛やお腹のハリが軽減されます。また必要に応じて鎮静剤も使用していきます。これによって検査時は、意識が薄くなるため苦しさを感じにくい状態となります。

検査までの基本的な流れ

検査前日まで

大腸カメラ検査を希望される方は、まず外来をご受診ください。検査可能かを医師が判断します。問題がない場合は検査日時の予約をします。事前に感染症検査(血液検査)を行い、常用薬のある方は医師とお薬の服用をご相談いたします。特に糖尿病治療に用いる経口血糖降下薬やインスリンは、当日控える必要があります。

また検査前日の注意点として、前日の食事は21時頃までに済ませ、消化の良いメニューを揃えた食事にします。水やお茶についての制限はありません。また、前日用の下剤を処方された方は、指示通りに服用してください。

※出血等のリスクを鑑み、医師の判断で検査日前後の数日間入院となる場合があります。

検査当日

起床から検査が終わるまでの間、絶食となります。常用薬のある方は、医師の指示通りに服用します。飲水についての制限はありません。鎮静剤を使用する場合もありますので、ご自身の運転(自転車、バイク、車 等)による来院はお控えください。来院後は、腸管洗浄液を服用していただきます。便の色が透明になるまで繰り返し排便していきます。透明な便の確認後、検査着に着替えて検査開始です。検査時の流れは以下の通りです。

検査時の主な流れ

鎮静剤の投与
必要に応じて検査を行う前に鎮静剤を投与していきます。これによって、うつらうつらした状態となり、苦痛を感じにくくしていきます。
内視鏡の挿入
検査台で横になり、肛門から内視鏡を挿入していきます。
大腸内腔を観察
内視鏡の内蔵カメラが捉えた映像をモニターを通して観察していきます。病変が疑われる組織があれば一部を採取し、病理検査を行います。また大腸ポリープを発見し、可能と医師が判断すれば、その場で切除することもあります。
検査終了
観察のみであれば、15~30分程度で終了となります。

検査後の注意点

検査当日は、できるだけ安静にしてください。飲食に関しては、検査終了後1時間ほど経過後まず水を少し飲み、問題がなければそのまま食事も可能です。当日からシャワーは浴びることはできますが、3日程度は激しい運動や入浴は控えるようにしてください。なお検査後は、鎮静剤を使用した場合、30分程度は院内でお休みいただいてからご帰宅となります。

またポリープを切除した場合、1~2週間程度は食事面(消化の良い食品にする、刺激物は避ける)や生活面(激しいスポーツ、旅行等)に制限があります。

※出血等のリスクを鑑み、医師の判断で検査日前後の数日間入院となる場合があります。