骨粗しょう症とは、骨量(カルシウムなどの量)が何らかの原因によって減少し、それによって骨折しやすくなる病気のことを言います。そもそも骨量(骨密度)というのは、20代頃をピークに減少していきますが、あまりにも減少してしまうと骨の中が鬆(す)でも入っているかのようにスカスカとなってしまいます。そのため骨粗しょう症(骨粗鬆症)と呼ばれています。
原因について
発症原因は大きく2つあると言われています。一つ目は原発性骨粗しょう症で、日本人の全骨粗しょう症患者様の9割を占めるとされています。これは閉経後の女性(閉経後骨粗しょう症)、加齢、日頃からの生活習慣(運動不足、寝たきりによる骨への負荷不足、体内のカルシウムやビタミンDなどの欠乏)などが原因の骨粗しょう症のことを言います。特に閉経後骨粗しょう症の患者様が多く、閉経後はエストロゲン(女性ホルモン)が減少していきますが、これは骨量を維持する役割も担っております。そのため閉経によって分泌がなくなると骨量が少なくなり、やがて発症に至ります。二つ目の原因は、続発性骨粗しょう症で、特定の病気や薬の服用が引き金となって発症するものです。同疾患は糖尿病、動脈硬化、内分泌疾患(甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症 等)、関節リウマチ、慢性腎臓病などの病気やステロイド剤などの長期投与といったことがリスク要因となっています。
症状について
症状については、骨量減少による何らかの自覚症状というものは特にありません。症状が進行すると、転倒した際に手をついた、尻もちをついたといった際に骨折、椎体圧迫骨折による症状(腰や背中の痛み、身長の低下、脊柱後弯変形 など)が生じて気づくようになります。また骨粗しょう症の患者様では、背骨、手首、腕や太ももの付け根といった部位が骨折しやすくなります。なお大腿骨近位部を骨折してしまうと寝たきりになりやすいので注意が必要です。女性の場合、多くの方は更年期(45~55歳、日本人女性の閉経平均年齢は50.5歳)に閉経を迎えるとされているので、自覚症状がなくても50歳前後に1度骨粗しょう症の検査の受診をお勧めします。
検査について
骨粗しょう症の診断をつけるための検査は、骨密度測定、X線撮影、血液・尿検査、身長測定などがありますが、当院では主に骨密度測定の中のDEXA(二重エネルギーX線吸収装置)による検査を行います。DEXAは一般的によく用いられる骨密度測定です。
DEXA検査とは
DEXAという検査装置には全身型と前腕骨専用型の2つのタイプがありますが、当院は検査台に横になって検査する全身型を導入しております。DEXA検査は、2種類の異なるX線を主に腰椎と大腿骨頸部の2つの部位に透過させて骨密度を測定していきます。所要検査時間は5~10分程度で痛みはありません。発症の有無については、若い世代の方(20~44歳)の骨密度の平均値(YAM値)と比べ、受検者様の骨密度が何%あるかで診断がつけられます。その結果、YAM値の70%以下(脆弱性骨折がない場合)の場合は骨粗しょう症と判断され、70~80%以下の場合は骨量が減少していると指摘を受けます。80%以上は正常と診断されます。
治療について
骨粗しょう症は骨の生活習慣病とも呼ばれる病気ですので、日頃の生活習慣の見直しを行っていきます。
食事面では、骨のリモデリング(骨を新しく作る代謝作用)に必要なビタミンD・Kを積極的に摂取しながら、栄養バランスを考えた食事メニューを取り入れていきます。また骨は体重の負荷をかけると丈夫になっていくので、日常生活に運動を取り入れます。運動強度は適度な有酸素運動(1回30分ほどの軽いジョギング など)で継続的に行うようにします。このほか、筋力やバランス力を鍛えることで転倒も防止していきます。
また必要に応じて薬物療法も行います。医師より処方されるのは、ビスフォスフォネート製剤やSERMなどの骨の破壊を抑制する薬や、骨の材料を補うとされる活性型ビタミンD製剤やカルシウム製剤といったものです。薬物によって骨量を増加させていき、骨折をできるだけ防止していきます。