整形外科とは

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整形外科は、主に運動器でみられている症状・病気について、診察、検査、治療を行っていく科です。そもそも、運動器とは身体運動で必要とされる骨、筋肉、関節、神経などを総称した呼び名です。運動器で生じた異常について診察するほか、運動器疾患の治療後の運動器の機能的改善や向上についてもリハビリテーション科で対応しております。

また、日常生活で起こる肩こり、腰痛、膝の痛み、手足のしびれをはじめ、骨折、脱臼、捻挫、打撲といったケガなどを取り扱っております。スポーツの際のケガにつきましても整形外科での対応となります。

また、ケガや痛みがあるわけではないものの、膝が抜ける感じがする、皮膚表面の感覚がおかしいといった「違和感がある」という場合でも遠慮なくご受診ください。

診察は、問診や触診のほかに症状がある部位を動かして確認を行うなど、痛みの原因を探していきます。また診断を確定させるために、医師が必要と判断すれば、X線撮影(レントゲン検査)、血液検査、超音波検査、骨密度検査 (DXA)などといった検査も実施します。
結果、入院加療や高度な医療機器による検査・治療が必要となれば、連携先医療機関の総合病院などを迅速にご紹介します。

当診療科で扱う主な症状(例)

  • 首や肩にこりがみられる
  • 腕を挙げることができない
  • 手や肘、腕、あるいは首や肩に痛みがある
  • 背中、腰、股関節、膝、脚などが痛む
  • 手や足にしびれを感じる、あるいは感覚が鈍くなっている
  • 力を手足に入れることができない
  • 手指がこわばっている、もしくは脹れている
  • 指を伸ばす際に引っ掛かりを感じる
  • 突き指をしてしまった
  • 捻挫、骨折、打撲、脱臼などのケガをした
  • 交通事故にあった、仕事中や通勤中にケガをした など

部位(症状)別でみる整形外科領域の主な疾患

よくみられる症状 考えられる主な疾患
首の痛み 頸椎症、寝違え、むち打ち症、頸椎症性神経根症、頸椎椎間板ヘルニア
肩のこり、痛み 頸肩腕症候群、五十(四十)肩(肩関節周囲炎)、肩腱板損傷
手のしびれ 頸椎椎間板ヘルニア、手根管症候群
肘の痛み 腕骨外側(内側)上顆炎(テニス肘、野球肘など)、肘内障、肘部管症候群、変形性肘関節症、離断性骨軟骨炎
手・手首の痛み 手根管症候群、関節リウマチ、腱鞘炎、手指変形性関節症
手の指の痛み ばね指、突き指、デュピュイトラン拘縮、ヘバーデン結節
腰の痛み 腰痛、ぎっくり腰、腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰部脊柱管狭窄症、胸・腰椎圧迫骨折、腰椎分離・すべり症、坐骨神経痛、骨粗しょう症
ももの付け根の痛み 変形性股関節症、単純性股関節炎
足のしびれ 腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、慢性閉塞性動脈硬化症(ASO)
膝の痛み 変形性膝関節症、靭帯損傷、半月板損傷、オスグッド病(小児)、関節水腫、関節ねずみ(関節内遊離体)
すねの痛み シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
足の痛み 足底筋膜炎、扁平足、アキレス腱断裂
足指の痛み 外反母趾、巻き爪(陥入爪)、痛風

ペイン外来とは

ペイン外来では、主に痛みに対する治療をします。痛みとは、身体に何かしらの異常が起きていることを知らせてくれる働きを担っていますが、痛みの原因が判明した後も続く痛みは無意味とも言えます。

また、3ヵ月以上痛みが続く慢性痛の状態の場合、自律神経が影響を受けバランスを崩すほかに、交感神経の緊張が高まり、血管が収縮する等により、血行が悪くなってしまいます。これが新たに発痛物質を発生させ、痛みの悪循環を引き起こすようになってしまいます。

上記のような無駄な痛みを排除していくのがペイン外来の目的です。診察をして治療が必要となった場合は、患者様の症状に合わせて神経ブロック療法や薬物療法などを行います。痛みが長引いて困っているという方は、一度ペイン外来をご受診ください。

主な痛みの治療法

神経ブロック注射

神経または神経周辺に局所麻酔薬やステロイド薬といった注射を注入していきます。これによって神経が原因で生じる痛みの経路を遮断されるので、痛みが緩和されます。すると血流が改善され、こわばりをみせていた筋肉も和らいでいきます。また、患者様の状態にもよりますが、神経ブロック注射1回で終了ではなく、複数回以上は打つことがほとんどです。脊椎や関節の痛み、各種神経痛、一次性頭痛の患者様に用いられます。また、神経ブロック注射は、注射する部位によって、硬膜外ブロック、神経根ブロック、星状神経節ブロック、腕神経叢ブロックなど、呼び名が異なります。

なお、麻酔薬を注入すると言っても、炎症が生じている神経やその周囲に直接注射していきます。そのため局所的な効果に限定され、麻酔が全身に作用することはありません。

トリガーポイント注射

強く押すと痛みが拡散し、しこりのようになっている部分のことをトリガーポイントと呼び、肩、背中、腰など様々な箇所に存在します。痛み(疼痛)を感じている部位に局所麻酔剤を注入していき、痛み・こりなどの症状を緩和させていく治療をトリガーポイント注射と言います。主に肩こり、腰痛、筋・筋膜性疼痛症候群の患者様に用いられる治療法です。

関節内注射

関節内注射とは、関節痛が治まらない方に行われる治療法で、主に五十肩(肩関節周囲炎)や変形性膝関節症、関節リウマチなどの病気に対して用いられます。これらの場合、膝関節や肩関節にヒアルロン酸ナトリウムなどを注入します。なおヒアルロン酸ナトリウムは、関節液などに含まれる成分の一種でもあり、患部の痛みや炎症を抑えられるようになるほか、関節の動きをスムーズにさせたり、軟骨のすり減りを抑えられるという効果も期待できます。

その他にも、患者様の血液から細胞修復成分を取り出し、患部に注入する事で関節の状態改善が期待できるリペアニーズも取り扱っています。

また、関節内注射も1回の注射で症状が解消するわけではなく、一定の間隔で通院して治療していきます。

薬物療法

薬物療法は、痛みに対して最もよく取り入れられている治療法です。ロキソニンやボルタレンなどの消炎や鎮痛の効果がよくみられる消炎鎮痛薬が用いられます。また、神経に炎症が生じている場合も効果が期待できる内服薬のステロイドを用いることがあります。このほかに、漢方薬を使用する場合があります。